相州伝の来歴

源頼朝を棟梁に東国武士団が結集して成立させた鎌倉幕府。その本拠地であった相模国鎌倉を中心に成立した刀工集団の伝法を「相州伝」という。

発祥は、5代執権得宗家北条時頼の時代、山城国より粟田口國綱、備前国より一文字分派の國宗、同じく備前国より福岡一文字助真が招聘された。彼等三人によって「相州伝」の歴史は胎動し始めたといわれている。

粟田口國綱の子の新藤五国光は、父國綱、一文字分派の國宗の双方より「山城伝」、「備前伝」を伝授された。新藤五国光の門弟には、行光、越中則重、郷義弘、岡崎五郎入道正宗等の名工が輩出している。

中でも、鎌倉末期に登場した岡崎五郎入道正宗は、「相州伝」を大成させた不世出の名刀工とその名が知られている。